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ホストが接客する本屋「歌舞伎町ブックセンター」レポート

日本最大級の歓楽街 歌舞伎町。映画館やカラオケなどの娯楽施設や、居酒屋・キャバクラ・ホストクラブをはじめとした飲食店が立ち並び、人種も価値観も違うあらゆる人々を受け入れる「ダイバーシティ」を体現する街でもある。

今年10月、このダイバーシティ・歌舞伎町にオープンした新たなスポットが「歌舞伎町ブックセンター」だ。ホストクラブやラブホテルが立ち並ぶ一角にある店は、場所柄ホストが書店員を務める。

ホストが書店員を務める

土日はホストが店員を務め、歌舞伎町に馴染みのない人や、ホストクラブに足を踏み入れたことのない人に親しんでもらうことが目的で、ホストクラブやバーを運営する「Smappa! Group」が運営している。

「LOVE」をテーマに400冊が並ぶ

壁一面に陳列された本は、小説からエッセイ、詩集、マンガ、アートブックなど、様々。それらは全て「LOVE」をテーマに厳選されたもので、内容にあわせて黒・赤・ピンクの帯がかけられている。

たとえば、黒はドロドロとした不倫や略奪愛、赤は情熱的な愛、そしてピンクはエロティックだったり甘酸っぱい恋愛。

もちろん、本は読み解き方や感じ方によって意味が異なる。しかし、それをあえて定義することで、客が読書を通じて「これは赤ではなく黒では?」などコミュニケーションをとることがねらいだという。そのため店内のバーカウンターやソファが設置され、じっくりと本をツールに文化的なひとときを過ごすことが出来る。

聞けば、この店はオーナーでホストクラブ経営者の手塚マキ氏が大の読書家であることがきかっけだという。ユニークなスポットオープンの経緯と、その展望を聞いた。

本は知的なコミュニケーションツール

ーーオープンの経緯は?

手塚:もともとは、ホストの教育するために感性を養いたいと思い、本を読むよう推奨してきたという背景があります。朗読会を開いてみたり、事務所に本棚をおいたり、本買取システムをやったりと色々試行錯誤してきました。それでも本を読むことが浸透しなかったので、いっその事本屋を作ってしまおうと思いました。

ーー電子書籍が普及している今、あえて紙の本を読む意味は?

手塚:僕は後輩のホストに「バックに一冊入れておけ」と指導しています。お客さんと待ち合わせのときに開いて待っているだけで、話のきっけになるんです。

「今何を読んでたの?」「○○って本だよ」「どんな話?」と。それだけで知的な自分を示す効果的なプレゼンになる。電子書籍をスマホで見ているよりも、本は分かりやすい。だから僕らにとっては「書を持て街に出よ」なんですよ。

もちろん、それ以外にも紙の本の魅力はあります。「10年間本棚に置いておけば、それは読んだことと一緒だ」という言葉がありますよね。本というのは長い文章を読む魅力と、センテンスだけを読む魅力、そして間をおいて読む魅力など、色々な体験があると思います。

1日2時間読書に費やす時間はなくても、気の向いたときにパッと見つけてパッと開いたページを2〜3行読む。それだけでも得るものは十分にある。それは電子書籍にはない読書体験の多様性だと思いますね。

文化サロンを作りたい

ーーカフェスペース併設ですが、どういった空間にすることが目標ですが?

手塚:歌舞伎町には「記者クラブ」がないんです。歌舞伎町交番には警察官がものすごくたくさんいるのに、「記者クラブ」がない。すると記者は溜まる場所がない。そういった人たちの「溜まり場」を作りたいんです。その昔、新宿一帯では紀伊国屋の創業者田辺茂一が文化事業に注力したほか、喫茶店の風月堂、アートシアター新宿文化など、小説家や詩人、映画監督や劇作家が集うサロンがありましたが、今はない。だからそういう場所を作りたかったんです。

でも、その場所にこないと情報が得られない昔とは違って、今はネットで情報を得られてしまう。その場所に来る価値をちゃんと作らないと難しい。だからこそ情報を得るだけではなくて、居心地の良いコミュニティにしたいと思います。

歌舞伎町はインターネットに似ている

ーー未来の歌舞伎町はどうなっている?

手塚:どうなっているかはわからないですね。歌舞伎町は誰が決めてデザイン出来る街ではなく、誰もを受け入れるすごく雑多で、いない人種はいないし、秩序もない。そして差別もない。洗練されていない猥雑な街。

それはあらゆる情報がうごめくインターネットにも似ていると思います。常に進化を繰り返し、刺激と緊張感を生み出す。それが歌舞伎町だと思います。

歌舞伎町の新たな注目スポットは、本と歌舞伎町に魅せられたホストが、文化人の集うサロンを目指して設立したものだった。新たな歌舞伎町カルチャーがここから生まれる?

■歌舞伎町ブックセンター
【場所】東京都 新宿区歌舞伎町2-28-14
【営業時間】11:30~17:00 ※夜は引き続きカフェスペースとして営業

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