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銀座で稲刈り体験ができる「白鶴銀座天空農園」レポート

秋の肌寒さを感じる2017年10月の某日、日本酒メーカー「白鶴酒造」の東京支社で、とあるイベントが開催された。銀座にある白鶴ビルディングの屋上に足を踏み入れると、そこには稲が並び、都会の中心とは思えない田園風景が広がっていた。

白鶴は屋上の緑化や食育への思いを込めて、2007年から「白鶴銀座天空農園プロジェクト」として農園を設立し米作りを始めた。農園は今年で11回目となる実りの季節を迎え、この日は稲刈りを体験するために約150人の参加者が天空農園を訪れた。

東京銀座の一等地で稲刈り体験

銀座駅から徒歩3分という場所にある白鶴ビルディング。下からは屋上の看板が大きく見え、いかにもビル然とした佇まいだが、実際屋上に上がってみると、そこには所狭しと稲が植えられている。

白鶴銀座天空農園で育てられている米の品種は、白鶴が独自に開発した「白鶴錦」。酒米の最高品種である「山田錦」の父にあたる品種「渡船」と、母にあたる「山田穂」の交配した優良品種で、2007年に品種登録された。

6月に田植えをした稲は10月になると黄金色に実り、いよいよ収穫の時。農園長、小田氏の挨拶の後、約150人は一斉に刈り取りを始めた。参加者は大人から子どもまで幅広く、稲に触れるのが今回初めてという人もいるなか、田植えから参加したという人もちらほら。

季節の移り変わりとともに稲が成長する様子を見守ってきたらしく、自分が植えた稲を探す様子は、まるで我が子を探すかのようだった。刈り取った後は、稲穂を抱いて記念撮影をしたり、たわわに実った穂先をまじまじと見つめたり、参加者にとって貴重な体験となった。

ビルの屋上での稲作は試行錯誤の連続

酒米を自社で栽培し、造酒まで一貫生産にこだわる白鶴だが、豊富なノウハウを持ってしてもビルの屋上での栽培は試行錯誤の連続だったのだそう。農園の運営メンバーの高尾氏に話を聞くことができた

——天空農園を行なう上でどのような苦労がありましたか?

高尾:通常の田園での稲作と最も違うのは、土だと思います。ビルの上では土の深さを10センチしか確保できないので、水がすぐに乾いてしまいます。そのため、水を溜めるために防水シートを張ったり、小まめに水をあげたりと、かなり気を配っています。また、肥料の量や内容も研究者や研究所と連携をとって検討しました。

——ビルの屋上ということで、気温も地上の条件とは違うのでは?

高尾:そうですね。室外機から出る熱風で、昼夜問わずビルの屋上は気温が高くなってしまいます。本来稲作では、昼と夜の寒暖差が大切なので、夜は土をあえて乾いた状態にすることで、土から温度を下げるという独自の工夫をしています。

日本酒の魅力を世界に発信したい

——苦労が多いようですが、そこまでしてなぜビルの屋上で稲作を?

高尾:私たち白鶴の社員は、入社するとまず、田んぼや醸造所に足を運び、日本酒ができるまでの全ての工程をこの目で見て、体験します。そうすることで商品への想いが一層強くなり、自信を持ってお客様に勧められるようになります。この空中農園では、東京に住んでいて日頃農業と関わる機会のない方にも、私たちのように稲作を体験してもらい、食に対する想いを深めてもらうことができればと思っています。

——つまり、ここでやることに意味がある。ということですね。

高尾:そうですね。最近では、近隣の小学校が毎年田植えや稲刈りを体験しに来てくれて、食育という意味でも貴重な場になっていると思います。これからも天空農園が、日本食を代表する「米」や「日本酒」の魅力を、日本、そして世界へ発信する場所になるよう、試行錯誤を繰り返しながら頑張っていきたいと思います。

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都会に住む人々に、日頃感じることのできない稲穂の香りを教えてくれる白鶴銀座天空農園。今年の米の収穫量は、籾(もみ)の状態でだいたい55キロ。そこから600mlの瓶にして40本ほどの日本酒ができるのだそう。そのうち30本が来年の5月頃に銀座のデパートで発売される予定。あなたもその貴重な一杯を味わってみては?

白鶴銀座天空農園

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