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若手漁師たちのアイデアあふれる居酒屋「宮城漁師酒場 魚谷屋」

2016年、東京・中野にオープンした居酒屋「宮城漁師酒場 魚谷屋」。お客でいっぱいの活気溢れる店内でひと際人気を集める1人の男性は、店の名物スタッフ…ではなく、なんと漁師。この日店で提供されていたホタテやワカメは、目の前でお客と笑顔で接する現役の若手漁師、高橋直哉氏(36)が宮城県南三陸の海で水揚げしたばかりのものなのだ。

漁師に会える“ライブ感”が魅力

「宮城漁師酒場 魚谷屋」の魅力は、宮城県からの“漁師直送”にこだわった旬の食材。鮮度抜群の魚介類が、カウンター席に面した「ライブステージ」で、時には豪快に、時には繊細にさばかれていく。固定のメニューはなく、時期ごとにとれる旬の食材を最高の状態で提供。毎月変わるメニューを楽しめる。

この店を企画・運営するのは、2014年に東北の若手漁師によって結成された「FISHERMAN JAPAN(フィッシャーマンジャパン)」。東日本大震災で大きな被害を受けた三陸漁業の再生と活性化を目指し、“漁業をカッコよく”をコンセプトに誕生した熱き集団だ。

そのコンセプトのもと、「FISHERMAN JAPAN」は若手漁師の育成を目指した就業支援やシェアハウスを運営する「TRITON PROJECT」、漁師が直接がモーニングコールをしてくれる「FISHERMAN CALL」、さらに漁師のオリジナルグッズやファンクラブの運営など様々な活動を展開してきた。従来の漁師のイメージを覆すアクティブな活動は、テレビや雑誌などあらゆるメディアから注目を集めている。

「宮城漁師酒場 魚谷屋」には、そんな「FISHERMAN JAPAN」の漁師が月に一回ほど、魚介類の魅力を伝えに宮城からやって来る。ホタテ漁師、ワカメ漁師である高橋直哉氏は「FISHERMAN JAPAN」の中心メンバー。今回は高橋氏に話を聞くことができた。

海産物の本当の美味しさを伝えたい

——最初に、高橋さんがとったホタテとワカメ、先ほどいただきましたが、とても美味しかったです!

高橋:ありがとうございます!特にホタテは、これからどんどん大きくなる時期で、今が一番甘みが強くて美味しいと思います。

——それにしても、なぜ地元ではなく東京でお店を?

高橋:東京には色々なお店があって、食に関心が高い人が多い中、それでも海産物の“本当の美味しさ”を知っている人は少ないと感じたことがありました。

——それを感じたのはどんなときですか?

高橋:東日本大震災の後、ボランティアで東京から来てくれた人に採れたての海産物をふるまったら、みなさん「美味しい!」とビックリされました。漁師にとって海産物の“本当の美味しさ”とは、その時期にもっとも旬な食材を最高の状態で食べるということです。漁師からすると当たり前の感覚ですが、東京の人にとっては特別な体験なんだと、そのとき知りました。

この店では、漁師にとって当たり前の海産物の美味しさをそのまま提供しているので、その味をぜひ東京の人に楽しんでほしいですね。そして、自分で採った海産物の魅力を直接お客さんに伝えられるということは、私たちにとっても、とても幸せなことです。

——先ほどからお客さんに大人気ですね。

高橋:おかげさまで、震災のボランティアで来てくれたときに知り合って、それがキッカケでお店の常連になっている人も多いです。震災から時が経っても忘れずにずっと気にかけてくれていて、こんな形で関係性が続いていくのは本当に有難いことで、私もみなさんに会えるのを今日まですごく楽しみにしていました。

三陸の漁業を盛り上げる若い力

——高橋さんが「FISHERMAN JAPAN」に関わるようになったキッカケは?

高橋:私は初期メンバーとして団体の設立から関わっていますが、設立のキッカケはやはり東日本大震災でした。震災後、三陸の漁師が減り、海産物の生産量の激減する中、同業者同士の関係性に変化がありました。今までライバルとしてしか見ていなかった隣の漁場の漁師と、「この状況をなんとかしよう」と手を取り合い、協力し合うようになったんです。そんな漁師を取り巻く環境が変わる中で「FISHERMAN JAPAN」が生まれたのは、ある意味必然だったのかもしれません。

——「FISHERMAN JAPAN」が今後目指すことは?

高橋:水産業の旧来のネガティブなイメージ、いわゆる“3K”(汚い・きつい・かっこ悪い)”ではなく、ポジティブな“新3K”(カッコいい、稼げる、革新的)として、水産業の魅力を多くの人に知ってもらうことです。最近は、これまでの活動の甲斐あって、興味をもって漁業体験に訪れる人がとても増えています。地元の人だけではなく県外から来る人もいたり、中には脱サラして漁師を目指す人もいて、注目度が高まっていることを感じます。今後もこうしてこの店に足を運んだり、積極的に発信していきたいです。

高橋氏の輝く笑顔は、店全体を明るくし、不思議な一体感を生み出していた。直送の美味しい魚介と、エネルギー溢れる“フィッシャーマン”たちに会える場所「宮城漁師酒場 魚谷屋」。あなたも足を運んでみては?

宮城漁師酒場 魚谷屋
営業時間:17:00 ~ 24:00
定休日:日曜日・祝日
電話番号:03-6304-8455
住所:東京都中野区中野2-12-9 高田ビル B1F

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