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難病によりそうMicrosoftのテクノロジー「Project Emma」

世界では1,000万人以上の人が、パーキンソン病を患っているとされている。アメリカだけでも、毎年60,000人もの人々がパーキンソン病と診断されているのだ。患者数は年々増えているにも関わらず、未だ根本的な治療法が見つかっていない難病の一つだ。

パーキンソン病の症状の一つに、手足の震えがある。手が震えてしまうことで、字や絵などの筆記がとても困難になるのだ。“自分の名前を書きたい”と願う一人が、パーキンソン病を患うグラフィックデザイナーのEmma Lawton氏。彼女の願いを叶えたのは、Microsoft ResearchのHaiyan Zhang氏が行った「Project Emma」である。

震えを震えで征するウェアラブルデバイス

Microsoft Researchに勤めるHaiyan Zhang氏が開発したのは、パーキンソン病特有の手の震えのパターンを学習させ、内蔵の小型モーターを振動させることで、手の震えを相殺する腕時計型のデバイスだ。

パーキンソン病の症状により、何度トライしてもうまく文字を書けずにいたEmma Lawton氏は、このデバイスを使用することで、長い間書くことができなかった自らの名前をキレイに書くことができた。震えにより丸になってしまっていた“e”も、ちゃんとキレイな文字となっているのだ。

医療機器ではなくファッションの一部

手の震えを「止める」のではなく、「相殺する」という斬新なアイディアでデバイスを完成させたHaiyan Zhang氏。彼女は、6か月かけてプロトタイプを完成させ、パーキンソン病患者4名を対象にテストを行ったという。その内3名から、有力な結果が得られたことが、自らのアイディアを推し進めるキッカケとなったと彼女は語る。

ウェアラブルデバイスを開発するにあたり、Haiyan Zhang氏は見た目にもこだわりをみせた。Emma Lawtonsh氏が着用するにあたり、いかにも“医療機器”という見た目は避け、使いたいと思わせるデザインにしたという。その結果完成したのは、パステルカラーがかわいい腕時計のようなデザイン「Emma Watch」だ。“Emma”と名前が入り、パーキンソン病と日々戦うEmma Lawton氏への想いの強さを感じ取れるものとなった。

Haiyan Zhang氏(左)とEmma Lawton氏(右)

幼少期の辛い経験

2013年に運動障害と診断されて以来、文字と線を書く能力を失ったEmma Lawton氏。デザイナーという職業柄、失ったものの大きさは想像を絶するものであっただろう。

そしてHaiyan Zhang氏もまた、9歳のときにオーストラリア・アデレードに両親と共に移住した当時、移民を受け付けない現地の文化と学校で唯一のアジア人として辛い思いをした経験がある。幼い彼女に浴びせられた「アジア人は帰れ!」の言葉は、彼女から自信を奪い、ついには声を失い、声を取り戻すのに長い期間が必要だったという。

Haiyan Zhang氏

パーキンソン病を患う人々に寄りそう「Emma Watch」は、大切なものを突然失う苦しみ、障がい・人種などによって差別を受ける苦しみ、これらを経験したHaiyan Zhang氏だからこそ完成させることができたデバイスかもしれない。

現在、この「Emma Watch」をもってしても、タイピングやアイライナーを描く作業においてはまだ手元が十分に安定しないという。今後も研究が進められるであろう「Emma Watch」。パーキンソン病と闘う人々の筆記能力を回復させるため、Haiyan Zhang氏とEmma Lawton氏、両名の努力は続いていく。

Project Emma
Courtesy of Microsoft

bouncy編集部
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