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病院通いを減らす、未来の健康診断。京セラが「細胞分離・濃度計測デバイス」開発

東洋医学では「未病」という言葉で病気になる前の対処に重きを置いている。現在では予防医療という言葉で、病気にかかりにくいよう予防する、そんな健康維持が叫ばれるまでになっている。

京セラ株式会社が開発に成功した「細胞分離・濃度計測デバイス」は、未来の健康診断の一つとして期待される技術だ。検査や分析時に特定の細胞を抽出する際、血液などから自動的に特定の細胞を分離し、濃度を計測するというもの。

たとえば血中の白血球を分離する場合、従来は血液を遠心分離機にかけた上で、熟練の技術者がピペットでより分ける。「細胞分離・濃度計測デバイス」は、この一連の作業を自動化してしまえる。

白血球の抽出作業は約90分かかるが、「細胞分離・濃度計測デバイス」の利用で熟練の技能者でなくとも約30分で作業が完了するという。また、検査を並列に行えば、従来よりも10倍以上効率がいいとしている。

なお、遠心分離機にかける場合は血液が10ccほど必要だが「細胞分離・濃度計測デバイス」の場合は1度の測定で1ccほどで済むとしている。

仕組み

「細胞分離・濃度計測デバイス」では、プレート上に超微細な血液の通り道を作り、この道に圧をかけて血液を送り出し、赤血球と白血球を分離する。細胞の大小によって通れる道と通れない道を作ることで、物理的に連続分離を実現している。

濃度の計測は、プリンタトナーの濃度を検出する機構を応用する。シリコン基板上に超小型のLEDとフォトダイオードを仕込み、この発光&受光のセンサーで計測する。

病院通いが減る?

京セラでは、2019年の春にも生産を開始する。企業の健康管理に活用できる技術として展開していく計画で、たとえば健康診断時の血液検査などを想定している。将来的には唾液などでの検査を実現したい考え。

ライフサイエンスの分野では現在、遺伝子やタンパク質など用いた検査技術の研究開発が進められている。これらの技術が実用化されていくと、病気の早期発見や予防医療に期待できるという。それは結果的に、病院に行く機会が減ることにもつながるかもしれない。

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世界保健機関(WHO)では、医療や介護を必要とせず日常的な暮らしができることを「健康寿命」と呼ぶ。寿命に対して健康寿命の割合が高いほど、寿命の質が高いと位置づけている。同時に、それは医療費や介護費の削減にもつながっている。

誰しもより長く健康的に暮らしたいと思うはずだ。未来の健康診断につながる「細胞分離・濃度計測デバイス」の開発によって、これまで病気になるまでわからなかった「病気未満」が見つけやすくなるとすれば、それは結果的に病院に向かう回数を減らせる可能性が出てくる。

健康診断が病気の発見ではなく、疾患の芽をつぶすことにつながると、言葉の意味通り「健康」を診断する、そんな未来がやってくるのかもしれない。

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