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子連れや障害のある方でも楽しめる、小さなバリアフリー映画館の大きな夢

映画を楽しみたいけれど、様々な理由があり映画館に行くのを諦めている人にも、気兼ねなく映画館に足を運んでもらいたい。

そんな思いで2016年の春にオープンしたのが、東京・田端にあるバリアフリー映画館の「CINEMA Chupki TABATA」だ。

設立したのはボランティア団体、City Lights。

2001年から、視覚障害者向けに言葉による映像の説明「音声ガイド」をつけた映画上映などのイベントをしていたCity Lightsが念願だったバリアフリーシアターだ。

クラウドファンディングによって支援を募り、3ヶ月で500人以上、1800万円という驚きのペースで支援の輪が広がり設立された。

シネマチュプキの工夫

誰でも映画を楽しめるよう工夫された箇所は多岐にわたる。

・映画館までスロープがあり、車椅子でも来館可能な田端という立地
・車椅子でも鑑賞出来るスペース
・視覚障害の方でも楽しめる音声ガイドを全ての席に常設
・聴覚障害の方でも楽しめるよう、映画には全て日本語字幕がついている
・子供が泣き出しても安心の親子鑑賞室を設置
・7.1.4chの音響システム、360度包まれるサウンドで視覚障害の方も「音」を楽しめる

など、あげればキリがないほど、至る所に細やかな配慮がされており、まさに「誰でも楽しめる」を具現化した映画館になっている。

音声ガイドの魅力

そんなシネマチュプキで注目したいのは「音声ガイド」だ。音声ガイドはその時の状況を言葉で表し、視覚障害の人でも楽しめ、常設された音声ガイドにイヤホンをつけて使用する。

赤と青のメーターは左右のバランスを調整出来るようになっており、音声ガイドを片耳だけで聞いたり、自分にあったバランスで聞くことが可能だ。

音声ガイドの声を人気の声優が務める事もあり、この音声ガイドを目的に来る人もいるのだとか。映画館入り口の壁には、音声ガイドを務めた人気声優のサインもあった。

音声ガイドを実際に聞かせてもらった。

「モノクロの映像」
「タケルが団地の廊下を全速力で駆けていく」
「男は立ち上がり、右ストレート」

など、その時に画面上でおきている事をすべて説明しており、もちろんエンドロールなども読み上げている。「監督の伝えたいその場面の意図を、邪魔することなく音で伝える」というナレーション。簡単なことではない。

実際聞くと、確かに「ここにはこのナレーションがないと分からないな」と気づかされる。この音声ガイド、2時間の映画の原稿を書き上げるのに3週間かかるそうだ。

支配人の和田さんに聞いた、ここまでやる理由とは?

「見られない人がいるのが嫌だ。」

そう語るのは、田端にある映画館「CINEMA Chupki TABATA」の支配人、和田浩章さんだ。

和田さんは支配人という肩書きだが、支配人の仕事もこなしつつ音声ガイドの原稿執筆、収録、編集まですべて行っている。忙しすぎると笑って話す和田さんにインタビューしてみた。

ーーこの映画館のイメージはなんでしょうか?

この映画館は「森」をイメージしています。東京に住むと息苦しさとかを感じてしまう。もっとリラックスして、誰でも周りを気にせず楽しんでもらおうと思っています。

ーー音声ガイドは1本の原稿執筆だけで3週間、なぜそこまでやるのですか?

分からないです(笑)
でも、見られない人がいるっていうのが嫌なんです。映画に救われてきた、映像や音楽に救われてここまでやってきた。その恩返しに近いかもしれませんね。

ーー今後どうしていきたいですか?

今後はもっとラインナップをごちゃごちゃにしたいなって思います。
優しい映画館、誰でも楽しめるバリアフリー映画館として、どの年齢層にも当てはまる映画を揃えていました。ただこれからはラインナップも色々挑戦していきたい。
そして2020年のオリンピック・パラリンピックの追い風にのって、バリアフリーの「バリア」が外れていくように努力していきたいですね。

成長を続けるチュプキの木

驚くべきペースで1800万円の支援を集めたシネマチュプキは、感謝の気持ちを込めて、支援してくれた方の名前を葉に書き、「チュプキの樹」として入り口に貼られている。

天井まで伸びているこの支援は現在も募集が続けられ、樹はどんどん成長している。

見た目は小さな映画館。

だがそこは、誰でも楽しめる映画館を作るという大きな夢への一歩だった。

CINEMA Chupki TABATA
■所在地
北区東田端2-8-4 マウントサイドTABATA
TEL:03-6240-8480
営業時間:10:00〜23:00
定休日:毎週水曜日

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