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何もない壁から打ち寄せる「波」の正体とは?

実在する建物などに、コンピュータで作成したシンクロしたCG映像を投影させ、幻想的な世界を演出する「プロジェクションマッピング」。この映像技術は、2008年の北京オリンピックの開会式で一躍有名となり、日本国内では2012年にJR東京駅の丸の内駅舎で披露されたことにより、国内での認知が一気に高まったといわれている。

名古屋造形大学大学院の浅野博善氏による卒業制作として披露され、Twitterを始めとするSNSによる拡散で大きな話題となった「プロジェクションマッピング技術を用いた仮想現実の仕組み」は、プロジェクションマッピングの新たな活用方法を打ち出す作品となった。

音と映像でリアルな波打ち際を再現

浅野博善氏はこの作品で、壁面と床面に映像を投影し、「波打ち際」を再現した。使われたのは石英の砂からなる白い浜辺で知られる和歌山県南紀白浜、白良浜で撮影した実際の波打ち際の映像。

寄せては返す波の心地よい音と共に、本物かと見間違う程リアルな映像が室内に見事に表現されている。浅野博善氏がYouTubeにアップした映像では、子どもたちが楽しそうに、この「波打ち際」で遊ぶ姿が映し出されている。その姿は、まるで本物の海に来たような驚きに満ちている。

「患者が歩きたいと思える場所」を作る

浅野博善氏によると、このシステムをパッケージ化することにより、スペースと電源さえあれば設営することが可能となっているとのこと。さらにインスタレーション作品としての設置の他、病院などのリハビリの現場に設置することができるという。「患者が歩きたいと思える場所」を作り出し、精神的な負担を減らすことも視野に入れて研究、開発を進めているそうだ。

リハビリは基本的には安全な場所で行うため、室内であることが多い。また毎日のリハビリに閉塞感を覚えている人もいるかもしれない。彼が生み出す仮想の波打ち際は、室内でありながら、利用者にあのさわやかな海の感覚を与えてくれるはずだ。

様々な理由で海に行けない人々にとっても、この作品を通じて「海」を感じることができるだろう。

クリエーターとしての様々な活躍

浅野博善氏はこれまでも様々な作品を手がけている。2013年には世界最高峰のフリースタイル・モトクロス(FMX)大会「Red Bull X-Fighters World Tour」や、2015年には「覗き窓」越しに部屋の中の少女の映像を見るTsumugu-schoolで披露された「Look in」などである。

「Look in」は、プロジェクションマッピングのイメージをガラっと変えて、あえて「覗き窓」から映像を見させるという斬新な手法を取り入れた作品である。部屋の中へは人々は入れないため、プロジェクター等の機器が人々の目に触れることがなく、より少女がリアルに生きているように表現することができたという。

浅野博善氏の作品は、壮大なスケールの王道のプロジェクションマッピングから、その見せかたや活用法など、アイデアにあふれるプロジェクションマッピングまで多岐にわたる。

これからも、映像表現のさらなる可能性を感じさせてくれる作品を生み出してくれることを期待したい。

bouncy編集部
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