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サラリーマンの週末電子工作チーム「動いた。」を動かすもの

2015年の2月。ソーシャルメディアを中心に、一羽の「鶴」の動画が世界中の注目を浴びた。「DANCING PAPER 」と題されたその作品は、金色の五羽の折り鶴が、ステージの上で華麗とも、奇妙ともいえるダンスを披露するというもの。

この作品を制作したのは、大阪の電子工作グループ「動いた。」。同じ会社に勤務するサラリーマンたちが週末だけ集まり、自分たちが作りたいものを自腹で作り続けているというモノづくり集団だ。

そんな「動いた。」のメンバーが、「本業」の出張で東京にやって来るということで、エンジニアリングを担当するましま氏、エンジニアリングやデザインなどを担当する佐山氏の二人を平日の東京駅で捕まえ、その活動について伺った。

「動いた。」のまやま氏(左)と佐山氏(右)

サラリーマン的「モノづくり」の形

――出張お疲れ様です(笑)。まず「動いた。」が結成された経緯から教えていただけますでしょうか?

ましま:結成したのは2012年ですね。その頃、『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』という本がでたりして、世の中でいわゆる「メイカーブーム」が起きたんですよね。それで、「いろいろ作ったりするの楽しそうだよなー」と軽い気持ちで、同じ会社の同僚に声をかけて集まったのがきっかけです。部活みたいなものですね。

「動いた。」を立ち上げエンジニアリングなどを担当するましま氏

――今日も「本業」での出張とのことですが、メンバーのみなさんは会社員ですよね。時間とか、お金とか大変なのでは?

ましま:はい。同じ会社の同僚です。平日は仕事で顔を合わせるときもありますが、そこは仕事の顔で、基本的に週末にだけ集まって活動しています。仕事としてやっているわけではないので、お金ももちろん自腹です。会社は副業禁止なので(笑)。

最初はメンバーの佐山の部屋とかに集まって作っていたのですが、作品が増えて荷物が増えたりして、今ではみんなで家賃を出し合って専用のアトリエを借りています。なので家賃負担もバカになりませんね。

佐山:僕たち経済感覚がルーズで、いくらお金がかかるのか考えずに始めてしまうので、清算の時に「え…!」みたいなこともありす。でも「趣味に使うお金」みたいなもんです。

好きなことを続けていく秘訣は「低い志」をキープすること

―― 2012年の結成ということはもう五年ですね。それだけ長く続いている理由ってなんだと思います?

佐山:基本的に「楽しい」ってことはありますけど、うーん、「志が低い」からですかね?

――え?志が「低い」んですか?

エンジニアリングからデザインまでこなす佐山氏

佐山:長く活動していると、「盛り上がってきたから会社にして仕事にしようぜ!」とか、「そうすると、お金も稼がないとね」みたいな話になる。技術面でも「やっぱり、AI流行ってるしやらないとまずいよね」とか、「世間ではゲノム解析が熱いから勉強しないと」となっていく。

つまりものづくりの志が、ビジネス面でも技術面でもどんどん高尚になっていく。でもそうなると、「僕たちが作りたいもの」じゃなくて、「お客さんが作りたいもの」を作らないといけなかったり、「難しいことを勉強して頑張る」みたいになっていく。そうすると続けるのが辛くなってくる。

ただ「志」がないと続かないので、「楽しくものづくりしたい!」という志はもちろん捨てない。でもそれが高尚にならないように、自分たちの楽しめる範囲で「低い志」のままキープしていく。だから楽しめているし、続けていられるんだと思いますね。僕らは「志の低さ」では高いです(笑)。

継続的に「アウトプット」を出し続けるコツ

――年に数個、コンスタントに作品を作っていますよね?世の中には「なんかやりたいな…」と思いつつ、いつまでも着手できない人も多いと思いますが。

ましま:僕らの場合は、「締め切り」があるからアウトプットが出せているんだと思いますね。みんなで集まって「これ作りたいね」って話てるだけでは進まない。

まだアイデア段階で完成できる保証もないのに、展示会に「こういうのを出品します!」ってまずノミネートしてしまう。そうすると強制的に締め切りが設定されるので、みんな「作らなきゃ!」ってなる。なんやかんやで、締め切り直前に形になるんですね。

やりたいことや作りたいものがあるなら、できるかどうかはさておき、先に締め切りを自分で作ってしまうというのは良いかもしれませんね。

「好きなことを続ける」には…?

彼らのチーム名である「動いた。」は、仲間と試行錯誤しながら手を動かし、プロダクトに命が吹き込まれて動き出すその一瞬の感動を現している。その「一瞬」を感じ続けるために彼らが辿り着いたのが、「サラリーマンの週末電子工作チーム」というスタイルなのかもしれない。

日々の仕事に追われながら、「こんなことをしてみたい」、「アイデアはあるけど実現できていない」といった人も多いはず。彼ら「動いた。」のチームスタイルは、「好きなことを続ける」ための一つの方法を示してくれている。

「では、そろそろ仕事なので」と、「動いた。」の2人は東京駅の改札へと消えていった。

bouncy編集部
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