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落合陽一の魔法で耳の聞こえない人とオーケストラが出会う?

4月5日、東京・荻窪にある杉並公会堂で、「耳で聴かない音楽会」のリハーサルが行われた。「耳で聴かない音楽会」は、聴覚に障害がある方は音を光や振動に変換するデバイスを使用し、新しい音楽体験が出来るなど、耳の聞こえる人も聞こえない人も一緒に音楽を楽しむことができる試みだ。

デバイス開発の中心人物は、筑波大学准教授/ピクシーダストテクノロジーズ株式会社の落合陽一氏。主催は、日本フィルハーモニー交響楽団。博報堂なども連携し、クラウドファンディングサービス「Readyfor」でプロジェクトを実施。これまで準備を進めてきた。

2月には聴覚障害者を筑波大学に招き、デバイスがどのように感じられるのかをヒアリングし、調整を行っている。

耳が聞こえない人がオーケストラを体験

この日は、最終調整の段階に入ったデバイスを会場に持ち込み、はじめて日本フィルの演奏をデバイスに出力。聴覚障害者を招き、本番に向けたリハーサルが行われた。

落合陽一氏はリハーサルを行った目的を、「開発の一番のネックはメンバー全員、耳が聞こえること。耳が聞こえないとどういう風に感じるかわからないので、改善要求がどこなのかを明確に知りたかった」と語った。

実際に、「高音がよく聞こえない」「振動が弱い」など多くの改善要求が生まれた。一方でデバイスを使うため人工内耳とは違う音楽体験ができ、「耳で聴くよりも視野が広い感じがした」「耳ではなく身体をすますという感覚」と体験者たちにオーケストラの演奏を楽しむことができたようだ。

演奏家と耳が聞こえない人の出会い

今回の取り組みは、「耳が聴こえない人が新たな音楽体験を出来る」ほかにも、演奏家が今まで演奏を披露できなかった人に出会う場でもあった。演奏をした日本フィルハーモニー交響楽団のヴィオラ奏者中川裕美子氏とそれを目の当たりにした落合氏に話を聞くことができた。

ーー今回のプロジェクトで気づいたことは?

落合:耳が聞こえる人は聞こえない人に比べると目の能力が弱っています。例を挙げると、話している口の動きを見ただけでは何を言っているかわからないことです。聞こえる周波数が限られる耳が聞こえない人は、声がわからないときは口を見て理解したりする。ということは、かすかに振動しているバイオリンが目で見てわかるかもしれない。そういうコミュニケーションから勉強するスタイルは多いです。

ーープロジェクトを通してどんな未来につなげたい?

落合:オーケストラを聴く人を増やしたいです。クラシック音楽は硬そうで、前提知識が必要で楽しみ方が難しい印象があると思います。それをできるだけポップなものにしたい。それはポップな曲をかけるわけではありません。我々は、はじめ「耳」と「目」くらいしか楽しませるものがなかったが、それを触覚に変えたり映像に変換したり、コンピュータを使ったアプローチができるようになりました。それをつかってオーケストラをどうアップデートするかがいちばんの課題です。

ーー演奏家として、耳が聞こえない人に音楽を伝える難しさは?

中川:今まで障害者施設の訪問演奏をしたことはあったが、耳が聞こえない人ははじめから諦めてしまっていました。その中での今回のリハーサルは音楽をシェアすることができ、本当に素晴らしかったと思います。

これまでは「テクノロジー」と「音楽」がかけ離れているような認識が知らず知らずのうちにあったのですが、テクノロジーを活用することで、もっとみんなが幸せになり、シェア出来る部分があると可能性を感じました。

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開発中のデバイスを介した演奏会は、音楽体験をアップデートすることで、演奏者と観客の新たな関係をも築きあげていた。クラウドファンディングのプロジェクトは、演奏会の二日前、4月20日まで支援が可能。音楽のバリアフリーの実現は、いつでも誰でも一緒に作り上げることが出来る。

耳で聴かない音楽会
日程:4月22日(日)
開演:14:00
場所:東京国際フォーラム・ホールD7
※クラウドファンディングは4月20日まで

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