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SXSW 2018で上映された長編ドキュメンタリー映画「旅するダンボール」インタビュー

世界中から長編・短編・VRなどの多種多様な映画が集まるSXSWの「Film Festival」で、ワールドプレミアを上映したドキュメンタリー映画「From All Corners(邦:旅するダンボール)」。世界中の捨てられたダンボールを拾い集めて、財布にアップサイクルするダンボールアーティスト・島津冬樹氏の物語を描いた制作陣の想いとは?

SXSW Film Festivalとは?

SXSWで開催される3つのフェスのうちの一つ「SXSW Film Festival」。2017年は133本のワールドプレミアが上映されるなど、大型国際映画祭としても認められつつある。短編映画や試写を加えると街中で1,000本近くの映画が上映され、VR関係の映像は1万本以上公開されたという。

ダンボールをアップサイクルするアーティスト

「旅するダンボール」は、目にとまる変わったデザインのダンボールを拾い集めて、世界中を旅するダンボールアーティスト・島津冬樹氏の活動を描いたドキュメンタリー。

予告編動画では、倉庫で気に入ったデザインのダンボールを見つけては、目を輝かせる島津氏の日常が垣間見られ、控えめに見てもユニークな人物であることがわかるだろう。

島津氏は世界27カ国を旅しながら、捨てられるはずだったダンボールを拾い集め、「ダンボール財布」を作り出す。彼の作品は国内外から注目を集めており、数万円の値が付けられるものもあるという。

監督とプロデューサーの想いとは?

映画の製作元は2013年にSXSWへ映画を出展した経験を持つピクチャーズデプトで、今回二度目の出展を果たした。そんなピクチャーズデプトで代表取締役/プロデューサーを務める汐巻裕子氏、「旅するダンボール」を撮影した岡島龍介監督に話をうかがった。

ーー作品を通じて島津冬樹氏に深く関わることになったかと思うが、岡島監督から見た島津冬樹さんはどんな人物か?

岡島龍介監督

岡島:一言で言うと変な人……。ですね。例えば今朝もそうだったんですけど、「ホームデポ」に出かけていて、しばらく帰ってこないなと思っていたら、すっごい長い棒を背中にかついで、壁にガンガン当たりながら帰ってきました。

いつも全員で「何のためにそれ買ってきたの?」って同じ質問するくらい、よくわからないものをよく買ってくる。まだ理解できていない部分もあるんですけど、彼の魅力はそれでも許されちゃう温かい性格があるのかなと思います。

ーー「温かい」というキーワードで、求めていたゴールにたどりつけた?

岡島:台本があって進行していく一般的な映画と違って、ドキュメンタリーは何が起きるかわからないから、最後にディレクションを決めるんです。

島津君は「ダンボールを見る目を変えていきたい」という強い思いを持っているんですが、それだけだとただのダンボールのフェチ映画になってしまう(笑)

撮影当初に島津さんが「作りたてのダンボールが温かい」と言っていたことが、頭のどこかに残っていたのもありますが、撮影していく中で要所要所に「温かい」というキーワードが出てくるようになりました。そこからフォーカスを当ててみると、物語にまとまりがついたと思います。

ーーSXSWで行ったワールドプレミアで観客の反応は?

笑ったり感動してもらったりするポイントで、狙ったとおりのお客さんの反応が見られて、うまくハンドリングできたという実感がありました。エンドロールでは拍手もしてもらえて、お客さんも「温かい」人が集まったのかなと感じました。


ーーSXSWに「旅するダンボール」を出展した理由は?

ピクチャーズデプト代表取締役/プロデューサー 汐巻裕子氏

汐巻:「旅するダンボール」は、「アップサイクリング」をテーマにかかげています。リサイクル、リユースを超えて、「価値のないものから価値あるものを生み出す」というプロセスです。こういった環境問題に関わるテーマは、どちらかというと日本国内よりも、アメリカの方が反応が早いんですね。

それで島津さんのドキュメンタリーは、「きっとSXSWのオーディエンスにビンビンくる」と企画段階から思っていました。英語のナレーションが入っているのも、最初からSXSWを目指してプロデュースした結果なんです。

ーー二度目のSXSWへの出展となるが、汐巻氏にとってSXSWとは?

汐巻:2013年に濱田岳さんが初めて全編英語で挑んだ「サケボム」という映画をSXSWの映画祭部門に出展しました。その当時、SXSWが非常にイノベーティブで衝撃的なフェスだったことに驚かされました。

SXSWは音楽とITと映画祭がオーバーラップしていますよね。別々の業界の人が一同に集まるというわくわく感は、まさにエンターテインメントだと思って、それからSXSWのファンになってしまったんです(笑)

初めてSXSWに来てからも、バイヤーとして毎年SXSWを訪れていて、日本でもSXSWの魅力を伝えるためのイベントをプロデュースするといった活動を行っています。

・ ・ ・

身近にあふれるダンボールが財布となって生まれ変わり、誰かの生活に溶け込んでいく。島津氏の行うアップサイクルの考え方が、「消費」のあり方を変えていくのかもしれない。

なお、日本公開は2019年と少し先になるが、国立新美術館のスーベニアフロムトーキョーでは、島津冬樹氏のダンボール財布300点の展覧会が3月19日(月)まで行われている。興味を持った人はぜひ、 「不要なものから大切なものへ」のコンセプトを体験してほしい。

■リアルタイム更新中!「SXSW 2018」取材記事一覧はこちら

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