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「ファッション」のボーダーを超えるため挑戦しつづけるアンリアレイジ

日常の気にもしないような些細な出来事をインスピレーションソースとし、毎シーズン、テクノロジーや最新技術を使って服作りを行っているファッションブランド「アンリアレイジ」。前シーズンでは、人の動きによって服に加わる力を可視化させたコレクション「Power」を発表した。

2月27日にパリで行われた、2018年の秋冬パリコレクション開催の9日前、「アンリアレイジ」のアトリエにて、今回のコレクションについてデザイナーの森永邦彦氏にインタビューを行った。

現時点で服は0着

――コレクション発表9日前ですが、準備はどれくらい進んでいるんですか?

森永:まだ半分もいってないくらいです。服は0です。

――いつもこんなペースなんですか?

森永:いつもより遅いです。非常に焦っています。

見る人によって色が変わるプリズム素材の服

――今回の「アンリアレイジ」のコレクションテーマは?

森永:テーマは「プリズム」です。「プリズム」というのは、分光器といって真っ白い光を紫から赤→黄色→緑→青というふうに光の波長をわけてくれているものです。

まず分かりやすくは、こっから見るのと上から見るのでは、ほんのり変わると思うんですけど、見えますかね?見る位置によって、正面から見たら、赤かもしれないけど、右から見たら青で左からみたら緑で、明かりがついていたら白でみたいなことは、目指したいとこです。

――このプリズムの布は、「アンリアレイジ」のために特別に作られたんですか?

森永:元々この反射シート自体はあったのですが、それを応用して今回のテーマに合わせたものをオーダーして作ってもらってます。そういったものができるかどうか、僕らもわからなかったんですけど、結構不思議なものが出来てる感じはします。

「プリズム」の布の他にも、柄に対しての「プリズム」の表現も考えていて、この特殊なビニール素材を作って、透明なウェアを柄物の服の上から着ます。この特殊なビニールは、中の柄をブレて見えるように作られているんですが、実は中の柄自体も本当はブレた柄になっていて。ブレてるものをさらにブレさせているので良く分からなくなってます(笑)。本当に「リアル」と「アンリアル」がブレながら混ざって行く感じです。

ショーでは、お客さんの目の前の「リアル」が揺らいだり、目をこするような洋服をみせられたらいいなと思ってるんですけど。

空の色って何で変わるんだろうという疑問

――今回テーマを「プリズム」に選んだきっかけは?

森永:最近のコレクションではずっと「光」を扱っていて、その過程で目で見てる光というのは一定のものですけど、実はその光の中にはいろんな色が潜んでいて、ひとつのものを見ていても、人の動きとか、角度とか、光の当たり方とかによって見え方が変わるんですよね。

こっちで見ている人とこっちで見ている人が一つの洋服でも、全く違うものにみえることが出来たらリバーシブルとかとはまた違う洋服の二面性が作れるんじゃないかなと思ってトライしてみました。

――手元のノートはなんですか?

森永:光については専門ではないので、どういう現象がプリズムによって起こっているかということを、勉強しています。

例えば、空の色って変わっていきますけど”じゃあなんで空の色って変わるんだろう?“っていうのが、光の波長によって同じ光でも光の波長が長いものが赤く見えるし、短ければ青く見えるし、そういう当たり前の現象の根っこにあるようなことを洋服上でもおこせたら面白いなと思っていて。

何十年に1回起こるかどうかのファッションの概念の変化が起せたら

――「アンリアレイジ」はなぜ毎回テクノロジーなどを駆使して新しい洋服を作るのですか?

森永:毎回の発表で、シーズンテーマとして伝えたいことは変わっていくんですけど、ブランドとしては日常に、ほんの少しゆらぎをかけたり、何か日常の違う扉を垣間見れるような洋服っていいなと思っていて。

やるからには、人生も限られているので何か洋服の概念とか当たり前だったことが変わるようなことをやりたいと思っています。それって実は中々起こらなくて、何十年に一回起こるかどうかのことだと思うんですけど、僕等はそこを頑張ってみたい。

もちろん洋服を売って、多くの人に着てもらって、ブランドが大きくなってっていうのは目指さないといけないんですけど、概念が変わる概念変化みたいなことを1回でもいいから起こしてみたいなって思うんですよね。

それが出来たデザイナーは少ないですが、実際にいます。僕が今、黒を着てることもそういったファッションの概念の変化があったからだと思っています。(コム・デ・ギャルソンやヨウジウヤマモトの「黒の衝撃」)。着るということについて、今まで纏ったことのないものでさえ、例えば移ろいのようなものでさえ、纏えるっていうことだったり、そういうことを服でやれたらいいなとは思っています。

・・・

毎回ショーを見ている人を驚かせたいと新しい素材やテーマに挑み続けるアンリアレイジ。コレクション発表の9日前にも関わらず、服は0着、演出も決まっていない状態だったが、最終的に見に来ていた人の心を動かし、日常に少しもしくはそれ以上の揺るぎをあたえたことだろう。

「アンリアレイジ」のファッションに対する当たり前を壊す挑戦は、これからも続いていく。

アンリアレイジ

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